▶ 応用行動分析学(おうようこうどうぶんせきがく) Applied behavior analysis

    行動の法則に基づいて、実社会で生じる人間を初めとする動物の様々な行動の問題を解決することに取り組む学問。英語の頭文字を取ってABA  (エービーエー)とも呼ばれ、様々な分野で活用されている。

    ▶ 回避(かいひ) avoidance

    いやなことが起こる事態を避けるようになること。負の強化の一種。

    ▶ 確立操作(かくりつそうさ) establishing operation

    強化子の価値を高くしたり(遮断化)、低くする(飽和化)環境操作。確立操作法は問題行動を解決する方法の一つで、非随伴性強化法、環境エンリッチメントなどがある。

    ▶ 強化(きょうか) reinforcement

    行動に何らかの結果が伴うことで、その後行動が増えていくこと。

    ▶ 強化子(きょうかし) reinforcer

    うれしいことやいやなこと。行動の後にあらわれたり、なくなったりすることでその行動の回数を増減させることができる刺激や出来事。

    ▶ 強化スケジュール(きょうかすけじゅーる) schedules of reinforcement

    行動がどのように強化されるかの規則。毎回ほめる場合は、連続強化 continuous reinforcement、時々ほめる場合は部分強化 partial reinforcementという。

    時々ほめるのにも4つの方法があり、それぞれのスケジュールで行動パターンの違いを生じる。

    ▶ 系統的脱感作(けいとうてきだつかんさ)systematic desensitization

    行動の原理を利用して問題行動を治療することを行動療法 behavior therapyという。系統的脱感作は、リラックスした状態で恐怖を感じさせる刺激を次第に強くしていくことによって恐怖症を治療する行動療法の一つ。

    ▶ 行動分析学(こうどうぶんせきがく)behavior analysis

    行動分析学は、心理学の一つで行動の原因を明らかにし、行動に関する法則を見いだそうとする科学。

    ▶ 三項随伴性(さんこうずいはんせい)three -term contingency

    3つの箱の結びつき。弁別刺激一行動一結果の関係をいう。先行条件(Antecedent)、行動(Behavior)、結果(Consequence)の頭文字を取ってABC分析と呼ばれることもある。インコのしつけ教室、遊んでしつけるインコの本等の拙書では、それぞれの頭文字からAの箱、Bの箱、Cの箱としている。

    ▶シェイピング(しぇいぴんぐ) shaping

    行動を形成する方法。様々な方法があるが、インコのしつけ教室、遊んでしつけるインコの本等の拙書では小さなステップを作って徐々に目標の行動に近づけていく方法(逐次接近法・漸次的接近法 method of successive approximation)をシェイピングと呼んでいる。

    ▶ 遮断化(遮断化) deprivation

    ごほうびメーターをゼロの状態にすること。フードや水を放鳥の数時間前からはずして空腹にすれば、放鳥後にケージに戻る時それらが行動の強化子として働く。

    ▶ 消去(消去) extinction

    それまでしていたほめることや注目をやめること。

    消去されると次第に行動の回数が減少し、ゼロになる(行動しなくなる)。シェイピングは、消去の時に起こる行動の変動性と分化強化で行動を形成する方法である。

    ▶ 消去抵抗(しょうきょていこう)resistance to extinction

    消去のしにくさ、しやすさをいう。消去されるまでの期間が長い(なかなか消去されない)とき、消去抵抗が高いという。連続強化より、部分強化の方が消去抵抗が高い。時々叱って注目を与えていた場合は、消去抵抗が高く無視だけで解決しようとすると時間がかかる。消去バーストと混同されやすい用語である。

    ▶ 消去バースト(しょうきょばーすと) extinction burst

    消去の直後に、消去された行動が一時的に激しくなったり、回数が増加すること。消去だけで解決しようとすると消去バーストが起こり、問題行動が一時的にひどくなるので、分化強化で何をしたらいいかを同時に教えて解決することが大切である。消去抵抗と混同され誤用されることがよくある。

    ▶ スキナー B.F. Skinner (1904-1990年)

    アメリカの心理学者で行動分析学の創始者。スキナ一箱と呼ばれる実験装置でハトやラットを用いて行動の基礎的研究を行い、行動の法則を明らかにした。

    ▶ 正の強化(せいのきょうか)positive reinforcement

    行動の後に刺激(正の強化子)が生じて行動が増える場合をいう。正(positive)は刺激があらわれる(プラス)の意味。

    ▶ 正の強化子(せいのきょうかし) positive reinforcer

    うれしいこと(快刺激)。行動の直後にあらわれると行動が増加し、なくなると行動が減少する刺激。好子、正の強化刺激ともいう。

    ▶ 正の弱化(せいのじゃっか)positive punishment

    行動の後に刺激(負の強化子)が生じて行動が減少する場合をいう。

    ▶ 代替行動分化強化(だいたいこうどうぶんかきょうか)differential reinforcement of alternative behavior (DRA)

    今している行動より適切な行動を強化すること。

    ▶ 対立行動分化強化(対立行動分化強化) differential reinforcement of incompatible behavior (DRI)

    減少させようとする行動と同時にできない行動を強化すること。

    ▶ タイムアウト(タイムアウト) time-out

    負の弱化の一種。一定時間の間、強化が受けられる環境から遠ざけて、不適切な行動を減少させる手続き。タイムアウトと称して、長い時間ケージに閉じこめるおしおきをしてはならない。タイムアウトは、5〜10秒程度で十分である。

    ▶ 他行動分化強化(たこうどうぶんかきょうか) differential reinforcement of other behaviors (DRO)

    一定時間、ある行動をしなかったら強化される。対象以外の行動はどんな行動でも強化される。ゼロ頻度分化強化ともいう。

    ▶ 逃避(とうひ)escape

    いやなことから逃れること。嫌悪刺激にさらされたとき、まず動物は嫌悪刺激から逃れる方法を学習し(逃避)、続いて回避を学習する。負の強化の一種。

    ▶ 弱化(じゃっか) punishment

    行動に何らかの結果が伴うことで、その後行動が減少すること。

    ▶ 負の強化(ふのきょうか) negative reinforcement

      行動の後に刺激(負の強化子)がなくなって行動が増える場合をいう。負(negative)は刺激がなくなる(マイナス)の意味。正の弱化と混同されることがある。

    ▶ 負の強化子(負の強化子)negative reinforcer

     いやなこと(嫌悪刺激)。行動の直後にあらわれると行動が滅少し、なくなると行動が増加する刺激。嫌子、負の強化刺激、罰子ともいう。

    ▶ 負の弱化(ふのじゃっか)negative punishment

     行動の後に刺激(正の強化子)がなくなって行動が減少する場合をいう。

    ▶ プロンプト(ぷろんぷと) prompt

     ヒント。ある行動ができるようになるまで、行動することを手助けする補助的な刺激。

    ▶ 分化強化(ぶんかきょうか)differential reinforcement

    ほめる行動とそうでない行動をはっきりと分けること。行動を修正しようとするとき、して欲しくない行動を消去するだけでなく、して欲しい行動やその他の行動も強化する方がよい。対立行動分化強化、代替行動分化強化、他行動分化強化がある。

    ▶ 弁別刺激(べんべつしげき)discriminative stimulus

    行動をはじめるきっかけ、目印、合図。信号が青になったら横断歩道を渡るのは、道路を渡る行動が青信号という弁別刺激で制御されているからである。

    ▶ 飽和化(ほうわか)satiation

    ごほうびメーターを満タンの状態にすること。キッチンで水を飲む行動を減らしたかったら、ケージで充分水を飲んでから外に出すようにすればよい。また、して欲しくない行動の強化子を取り除けないときは、頻繁に強化子を与えて飽和化して行動を減らす方法がある(非随伴性強化法 non-contingent reinforcement (NCR)).